2011年に亡くなった加藤彰の監督作品で、1974年ロマンポルノ全盛時代の傑作である。
これを見ようと思ったのは、今年宮沢りえ主演で、女性銀行員の犯罪を描いた映画『紙の月』が話題となっているからで、
「それよりも加藤彰作品の方が上だろう」と思っていたからである。
41年ぶりに見たが、やはり凄いと思った。
洛北銀行の女性行員の中島葵は、冴えない女性で、上司の浜口竜也に無理矢理旅館で犯されるが、処女で、彼からは
「君がこの年で処女だったなんて・・・」と驚かれる始末。
姉の絵澤萠子は、まじめな文学少女だが、中島も真面目なことは同じで、銀行内の信用も高く、定期預金を任せられている。
ある時、客用のタバコの包装のハトロン紙に印鑑の陰影が写っていたことから、ハトロン紙に客の陰影を複写して、書類に転写する方法を思いつき、それで客の定期預金を下ろして現金化し、タクシー運転手の若い男に貢いでいく。
これが実にいい加減な奴で、次々と競艇の穴に大金をつぎ込み、大損をしていくが、その度に中島は、彼に現金を渡し、ホテルで濃厚なセックスに励む。
これが非常に濃厚なもので、数あるロマンポルノ史上でも最上の部類に属すると思う。
言うまでもなく中島葵は、森雅之と宝塚の女優だった梅香ふみ子との間の子で、文学座養成所を出た後、黒テントでも活躍し、日活のみならず、多くの映画にも出た。
だが、彼女は若くして癌に冒され、最後は骸骨のような姿だったのを、愛人でもあった芥正彦による写真集で見たこともある。
あまり良い趣味とは思えなかったが。
阿佐ヶ谷ラピュタ レイトショー