『潮騒』

1975年、山口百恵と三浦友和の共演で大ヒットした作品、監督の西河克己には、このコンビのヒットで映画界での首がつながった記念碑的映画とのこと。

先日、1971年の森谷司郎監督、小野里みどり、朝比奈逸人の『潮騒』を見たので、最初の谷口千吉監督、青山京子、久保明の東宝作品、日活での森永健次郎監督、吉永小百合、浜田光夫作品と、ほとんどを見たことになるが、実はもう1本、小谷承靖監督、堀ちえみ、鶴見辰吾のもあり、これを見れば全部見たことになる。

ただ、堀ちえみ・鶴見辰吾作品を見なくても、この百恵・友和作品が、多分一番良い出来だと思う。
理由は、主役二人がぴったりであること、特に三浦友和が大変に良い。
実に自然な演技である。
浜田光夫も上手かったと思うが、少々嫌味なところもあり、演技が不自然であった。
だが、三浦友和は、本当に田舎の漁師の中の、凛々しい美少年に見えた。

この頃、実は山口百恵は、友和に対して相当に燃えていたらしいが、そうした自然な愛も見える気がする。
西河克己によれば、前作の『伊豆の踊子』に続く三浦友和との作品でも、百恵は大変なハード・スケジュールで、全体で1週間、神島でのロケは3日間しか取れなかったそうだ。
だが、百恵は喜んでロケに来て、その理由を「映画では、沢山の人が私のためにいろいろとやってくれて、ものを作って行くのが楽しいので、ロケに来た」と言いい、西河克己監督以下のスタッフを感激させたそうだ。
もちろん、それに嘘はなかっただろうが、本当は「三浦友和さんに会えるので、早くロケ現場に来たかった」のである。

ここの三浦友和は、とてもさわやかで非常に良い。
私には、その手の趣味はないが、この撮影のとき、神島には、友和君の褌姿を見るため、ホモが全国から押し寄せたそうである。

また、青木義朗や初井言栄、高山千草などの日活おなじみの連中の他、丹下キヨ子、田中春男、有島一郎、津島恵子、中村竹弥、花沢徳衛など、ベテランの脇役のキャスティングもさすがに手堅い。
海女のボス役の丹下キヨ子など、とても珍しく、これが最後の映画出演らしい。
BS日テレ

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コメント

  1. みかんちゃん より:

    我が意を得たり
    先日、数十年ぶりにBSで
    観ましたが… 三浦友和の役にハマりきった 素朴な青年の姿に感動してしまいゴールデンコンビ作品を
    見まくっている毎日です。

    二度と あんな若手俳優に出逢う事は ないだろうと思うと 哀しい限りです。