『浄瑠璃坂の決闘 第二部』

前回に続く、浄瑠璃坂の決闘の二部。
父の仇の岡譲二を討つべく苦労する中村扇雀らの姿を描くもの。
岡譲二らの一味は、宇都宮から逃げて江戸に行き、旗本の屋敷に隠れ、行方不明になる。
彼らを探す扇雀の叔父嵐寛十郎は、一味を探し出すため、仲間を米屋や住屋に身分を隠して働かせ、岡らを探す。
大人数の者がいれば、米や炭を沢山使うはずで、大量の注文があった屋敷が怪しいという論理的推理である。
また、岡譲二方には、軍師として大河内伝次郎がいて、様々に潜伏を工夫する。
この嵐と大河内の知恵合戦の色彩もある。
この作品では、戦前の時代劇のスターだった嵐寛十郎と追う大河内伝次郎は、自らは動かず、主人公に知恵を貸す存在になっている。
すでに、東映では、中村錦之助が、大映では市川雷蔵が出ていて、嵐や大河内らは、すでに時代遅れのスターになりつつあったのだ。

最後、嵐の推理どおり、炭屋への大量注文から、一味の屋敷が分かり、扇雀らは、討ち入って見事敵討ちに成功する。
この敵討ちは、赤穂浪士の吉良邸討ち入りに影響を与えた言うが、この米屋や炭屋に身分を隠して潜入するあたりだろうか。
扇雀の許婚として扇千影が出ているが、この人は美人だ。扇雀との結婚、さらに政治の世界への転進がなければ、戦後日本映画の美女のトップ10には楽に入る人だったと思う。
作品としては、特にひどくはないが、全体に古臭い感じがするのは、仕方ないのだろう。
衛星劇場 

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