浦山桐郎は、熊井啓と並びあまり好きになれない監督だが、この『青春の門』シリーズは悪くない。
その理由は、東宝というメジャーであることと、五木寛之の通俗性が、浦山の日共民青性を薄めているからである。
勿論、やたらに歌声運動歌やロシア民謡が出てくるのは不愉快だが。
この『自立篇』の中で、大竹しのぶの織江が売られた池袋の青線で、信介の田中健とヤクザの梅宮辰夫が喧嘩するとき、その青線バーで掛かっていた曲が、江利チエミの『ウスクダラ』だった。
そして、なんとこれは昨日の『横浜で交差した音』で、北中正和さんの選曲の江利チエミのきちんとトルコ語も交えたものだった。
「ウスクダラ、ギデリンケンハウツダビリアンブー」と言った歌詞だったと思う。
この『ウスクダラ』は、アメリカの黒人歌手アーサー・キットが歌ったもので、それを日本では江利チエミが歌って大ヒットさせた。
北中さんの昨日のお話では、アーサー・キットよりも江利チエミは、正しくトルコ語で歌っていたそうだ。
江利チエミは偉い。
3年前に、アーサー・キットは亡くなられ、新聞にも死亡記事が出た。
ただ、そこには日本で、『猩猩寺の狸囃子』を彼女が歌って日本でヒットさせたことの記述はなかった。
多分、アメリカからの外電をそのまま翻訳したので、そこには彼女の日本での活躍はなかったので、翻訳のままの記事として載せてしまったのだろう。
『猩猩寺の狸囃子』は、テレビのCMでマルコメ味噌で使われたので、よく憶えている方も多いと思う。
衛星劇場