美空ひばり、江利チエミ、雪村いずみの元祖三人娘が共演した最後の映画。
この後、舞台では、江利チエミと雪村いずみのコンビで、つかこうへいの作・演出のステージがあり、非常に面白かったそうだ。
三人も、この1966年には、20代後半になっており、それぞれ老舗料亭の娘、テレビ局のディレクター、パリ帰りのヘアー・デザイナーになっている。その三人には、日本舞踊の師匠宝田明、テレビ局のカメラマン夏木陽介、キザなダンサーの岡田真澄が配されていて、いろいろな経緯はあるが最後はみな幸福に結ばれる。
こういう娯楽映画の筋書きに文句を言うのは野暮なことで、誰もそんなものを見に来ているわけではないからである。要は、三人の歌、踊り、演技を見に来ているのである。
正直に言えば、若い頃、私は美空ひばりが嫌いだった。
1967年にひばりは『真っ赤な太陽』をミニ・スカート姿で、GSをバックに歌った。
このとき、知り合いのある女性は、
「ブルー・コメッツがひばりとねえー」と露骨に不快感を表したが、私たち20代は大体そうだった。
その後、1950年代の美空ひばりのレコードを聞いて驚き、そのすごさに感心した。
そして、新宿コマ劇場での公演については、『ミュージック・マガジン』の1983年12月号に書いた。
同誌で、美空ひばりの公演について書いたのは私一人であり、これは今でも私の誇りである。
今回の映画を見ても、圧倒的に美空ひばりがすごく、次いで江利チエミも芸能界のプロの力量を見せるが、雪村いずみは、かなり上手な素人芸という感じになる。
昔、『ジャンケン娘』を見たとき、最も西欧的で非日本的に見えて、若い我々の憧れだった雪村いずみは、今見ると一番魅力のない女優に見えた。
阿佐ヶ谷ラピュタ