『釈迦』

1961年、大映が日本初の70ミリ映画として作った大作、シャカの生涯を誕生から、その寂滅までをドラマチックに描く。

昔、ビデオで見たことがあるが、やはり大画面で見ると迫力があり、最後の釈迦の死に際して、大群衆が駆けつけてくるシーンは感動的である。

釈迦になるのは、本郷功次郎で、生真面目な役者なので、適役。その父母は、千田是也と細川ちか子の新劇役者、本郷の妻となる女優は、日本の女優ではなく、フィリピンの女優のようだ。

その美しい女性をめぐり本郷と争い、以後ことごとく釈迦と衝突する悪役王子は、勝新太郎でこれもぴったり。

その他、義理の母月丘夢路から懸想されて拒否したために盲目となる王子が市川雷蔵で、その妻は山本富士子、釈迦の弟子に根上淳、川崎敬三、大辻伺郎、小林勝彦、尼僧に叶順子など大映の俳優総出演。

アクションシーンや特撮、アニメによる合成などもふんだんに取り込まrていて、2時間半だが、全く退屈しない。

仏教徒をバラモンの預言者東野英治郎らと一緒になって勝新が迫害し、地面に抑え付けた信者を象に踏ませようとするが、その足が空中で止まってしまうなど、明らかに象を吊っているのがわかるが、実に面白い。

なんといっても良いのが、全編に流れる伊福部昭の音楽で、主にコーラスで、祈りを再現している。

最後、悪役の勝新は、彼らが作った大彫像が地震で破壊され、地割れの中に落ちるが、その時天上から魔法の糸が降りてきて、救われる。

まさに悪人正機である。

製作の永田雅一は、ことあるごとく大乗的見地という言葉を使っていたが、その現れだろう。

角川シネマ有楽町

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コメント

  1. ss より:

    Unknown
    悟りをひらいた後の釈迦の姿を正面からハッキリとは映さず、後ろ姿や、後光がさした状態の逆光で映すのが面白かったですね。
    ベンハーのキリストの映し方を参考にしたそうですが。

    自分が好きなのは、川口浩と市川寿海のエピソードです。
    http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD12992/staff.html

    「秦・始皇帝」といい、大映の70ミリ大作は、結局、実質的な主演が勝新というのも興味深いと思います。

    ところで、以前のエントリの「真昼の決闘」についてですが、やはり、米大統領の愛した映画ベスト1に選ばれたようです。
    http://d.hatena.ne.jp/tougyou/20050517/p2