映画界には不思議なことがよく起きるが、東宝のベテラン監督、良識派の堀川弘通監督が、1970年に作った『学園祭の夜。甘い体験』も、どうしてこんなにひどい作品を作ったの?、というものだった。
堀川くらいなら、シナリオを読んで、すぐにどうにもならない話と思っただろうに。
私の推測では、ここでは企画となっているが、近代放映という会社にヒントがあると思う。
近代放映は、1970年日活の製作者などが作った映画制作会社で、唐十郎主演の『銭ゲバ』を作り、東宝系で公開した。
日活が一般映画を中止する中で、生まれた動きの一つで、この映画も多分どこかからの資金があって製作されたものだろうと思う。
近代放映は、その後も映画やテレビの製作をしたらしいが、とっくの昔に倒産している。
脚本は日活の助監督だった奥山長春だが、題名の通り、まじめな高校3年生の鳥居恵子が、学園祭の夜に同級生立花直樹とできてしまう。
立花直樹は、遊び人で、都内のスナックで変な女連中とも遊んでいる。
スナックのマスターとして、竹邑類が出ていて、乱交パーティーのシーンでは、得意の踊りを披露した。
ともかく筋書きが適当で、また予想した通りにしか運んで行かないのにはあきれる。他に知恵はないの、と言いたくなる。
当然にも鳥居恵子は妊娠してしまい、産婦人科に行くが、中絶はしない。
最後は、大学進学を諦め、立花と一緒に生きていくところで終わり。
一体なにを言いたいのと思う。
鳥居恵子は、結構綺麗な女優だったが、容姿に華がなく暗いのが欠点だった。
日本的な顔立ちだったので、東宝ではなく、東映や大映の時代劇だったら良かったのかもしれないな、と思った。
阿佐ヶ谷ラピュタ