12月31日は、勿論紅白歌合戦を見る。
これを見ない奴は、日本の伝統に逆らう非国民だと言って良いと思う。
紅白歌合戦と正月の歌会始、このふたつこそ「文化の国」日本の象徴である。
国の元首が、国民から歌を集めてコンクールをする文化国家が世界のどこにあるだろうか。
しかも、『古今和歌集』に始まるように、この文化的伝統は古代からあるのだから、実にすごいというべきだろう。
だが、2012年12月31日の紅白歌合戦は、いよいよ伝統的歌謡というか、語りものあるいは、御詠歌にますます似た歌唱ばかりのように聞こえた。
その代表は、ファンキーモンキーベイビーズで、完全にお経ヒップポップだったが、次に出たHYの「いちばん近くに」も完璧な御詠歌だった。
そして、その極めつけは美輪明宏の「ヨイトマケの唄」であることは言うまでもない。
これなど、その霊験あらたかな有難さに思わず手を合わせたくらいである。
初詣など行かなくても十分なお参りができた。
なぜ御詠歌になってしまうかといえば、この30年間くらいの日本の歌が、曲先行になったからである。
つまりメロディを作曲家が先に作り、それに作詞家が言葉を当てはめて曲を完成されるようになっている。
これでは、余程素晴らしいメロディ、リズム、ハーモニーができない限り、いくら言語をつけても平凡なお経を読むようなものになってしまうのだ。
こうした御詠歌性を乗り越えていたのは極めて少なく、男では北島三郎、コブクロ、斉藤和義、TOKIOくらいではないだろうか。
紅組では、伍代夏子(バックのAKB連中の踊りは完全に外人のバレー)、きゃりーぱみゅぱみゅ、天童よしみ、坂本冬美、石川さゆり、いきものがかりくらいだろうか。
今年は、やたらに絆などと言わなかったのがよかった。
さらに昨年出て、「これ本当にプロなの?」と思わせたほどにど下手だった猪苗代湖ズが出なかったのは良かった。
さすがのNHKもあまりのひどさに懲りたのだろうか。
コメント
楽しい見方です
紅白歌合戦を最後まで視聴されたことに同世代として敬意を表します。私は大晦日も10時には寝ました。
指田さんらしいご見解素晴らしいです。
戦後世代なので御詠歌はよく解りませんが、指田さんは大衆文化評論家としてご自身の考え方に自信をもってコメント続けてください。