宍戸錠が書いた日活時代についての本の完結編が出た。
前の本も、中央図書館にあったので読んだが、結構詳しく撮影所のことが書かれていた。
それに比べると、今回のものは随分と荒く、1961年に彼が初めて主演作の『ろくでなし稼業』のヒットと、その後作られた3本の「稼業シリーズ」のことは詳しいが、後は適当である。
1960年代中頃以降は、作品名が羅列されているだけである。
それは多分、彼の年に何本か日活作品に出ていたが、テレビに活動を移していて、ほとんど撮影所に出入りしていなかったからだと思う。
『拳銃は俺のパスポート』や『殺しの烙印』についても、ほとんど書かれていないのは、彼が高齢化して忘却してしてしまったのだろうか。
ただ一つ、この本で意味があることがある。
それは、『殺しの烙印』で、彼の妻を演じた小川万理子のことである。
少し芦川いづみに似たスレンダーな女優で、この映画では全裸のシーンも演じた。
だが、私の知る限り、他の作品では、テレビの『七人の刑事』に出たことしか記憶がない。
その彼女だが、名古屋の少女歌舞伎のスターだったと書かれていた。
市川少女歌舞伎のことだろうか。
そう言われれば、全裸の上に毛皮のストールをまとって歩くシーンなどは、幾分芝居がかった足どりだったと思う。
コメント
Unknown
「拳銃は俺のパスポート」ですが、チャンネルNECOで放送された昨年の日活100年の俳優リクエスト編で宍戸錠がこの作品をリクエストし、作品誕生の経緯を詳しく語っていましたけど。
「高齢化して忘却した」は失礼過ぎます!
私も見ていますが
チャンネルNECOでの宍戸錠のも見ています。
しかし、言うまでもなく語ることと、きちんと文章にして書くこととの間には、千里の径庭があるのではないでしょうか。
私は、『拳銃は俺のパスポート』や『殺しの烙印』の製作のことが詳しく書かれているのではと思って買ったのですから。