『レコード・コレクターズ』誌の人気連載、岡田則夫さんの『蒐集奇談』が昨年末にミュージック・マガジン社から出され、そのお祝いのパーティーの案内が来たので、もちろん行く。
会場は、岡田さんのお店である「いにしえ文庫」の近くの中華料理店・謝謝。
岡田さんは、高校時代から落語のSPの収集を始め、大学時代に大衆芸能研究の先駆者である小島貞二氏に師事し、落語のみならず大衆芸能全般のSPレコードを集められて来た。
約5万枚と言われ、そのほかに雑誌や本などもある。
就職後も、連休や夏休みを使って全国を歩き、北海道から沖縄まで、2年前には全国のすべての都道府県でSPレコードを入手されたそうだ。
全部で180篇くらいあった連載記事の内、マニヤックな昔のレーベルの紹介等は除き、主に全国各地でどのように苦労してレコードを入手したか、極めて個性的な中古店、古道具屋の店主や彼らとのやりとりの面白さ、失敗談、唯一の憤激談等が収められている。
どれも面白く、レコードのみならず、様々な中古品を蒐集される方への大変優れた手引書になっていると思う。
当日は、岡田さんの師匠であった小島貞二さんの息子の小島豊美さん、落語のレコードの収集では、戦前から始めていたという都家歌六師匠、戦前のポリドールなど歌謡曲のコレクターの保利透さん、戦前のジャズのコレクターの毛利真人さんなど、コレクターばかり。
また、ミュージック・マガジン社からも寺尾社長の他、『コレクターズ』の編集長の佐藤さん、さらに今回の編集担当の浅野純さんなども見えられていた。
ともかく、この日に来た人が極めて多彩であるのは、岡田則夫さんのお付き合いの方々の幅の広さの現れである。
浅野純さんとお話したが、「岡田さんの蒐集ができた最大の理由は、岡田さんの奥さんのご理解の賜物であろう」ということになった。
私なども、この日のウルトラコレクターさんに比べれば、およそ大したものではないが、それでも常に家人から、
「あなたは、映画だ、演劇だ、音楽だと言うが、それと私たちとどっちが大事と思っているの」と常に言われていたのだから。
どっち、と言われて答えようはないよね、それは初めから決まっているではなか、とは言わなかったけれどね。
ともかく興味のある方は、是非マガジン社にお問い合わせを。
一般の書店には置かないそうだが、ネットのamazonnにはあるので、そこから注文することもできる。