国際地球観測年に備え昭和基地建設に向かった南極地域観測隊の記録で、日映新社制作だが、東宝の配給、記録映画だが一般公開されたのである。
当時は、記録映画、文化映画が結構普通の劇映画と一緒に公開されていた。
まだ、テレビがなく、世界の不思議な民族、習俗、景色等を知らせるメディアはなかったので、こうしたジャンルの映画にも人気があったのである。
製作は日映新社と書いたが、企画は文部省で、多分金も出しているのだと思う、全国の学校で上映されたはずだ。
私も学校で見たと思うが、内容は全く記憶になく、最後に船の宗谷が流氷群に囲まれて身動きできなくなる。
そのとき、ソ連の砕氷船オビ号が救出に来るところしか憶えていなかった。
この頃、アメリカと並び世界の経済をリードしていたソ連は、工業力は日本のはるかに上で、砕氷船と言った特殊な船の保有でもトップだったのだろう。
「ソ連って意外にも国力がすごいんだな」と子供心にも思ったものである。
西堀越三郎隊長以下11人が越冬隊として南極に残り観測をして、1年後に撤収してくる時、様々な事情で樺太犬を南極に置き去りにしてくることになる。
これが、後に生き残っていたタロー、ジローの物語となるのであるが、それは2年後のこと。
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