かつて新劇俳優、今や歌舞伎役者

ドラマでの悪役のふさわしさだが、かつて日本映画の右翼やヤクザの親分、時代劇の悪代官、悪徳商人などは、滝沢修、佐々木孝丸、千田是也、山形勲、薄田研二、三島雅夫ら新劇役者の持ち役だった。

私は、この中では三島雅夫が大好きで、この人が出てきて、作品の冒頭では善人顔で良いことを言っても、いずれ悪になるとゾクゾクしたものである。

やや地味だが、悪人面では石黒達也という人も最高で、この人は非常に凄みがあったが、彼も新築地劇団にいたらしい。

現在のTBSの大ヒットドラマ『半沢直樹』での悪役は、香川照之、片岡愛之助と歌舞伎役者である。

これは、ドラマの製作者が、こうした勧善懲悪劇では、悪人が魅力的で上手くないと芝居が成立しないことをよく心得ているからだろう。

香川の時にわざと緊張をそらすような気を抜いた演技、あくまでも臭い片岡の芝居など、さすがは演技を誇張することの意味を十分にわかっている歌舞伎役者である。

香川が襲名した歌舞伎の先代市川中車も、吉良上野介などの好色な悪役が得意で、実際にこの人は、大変な色好みで、

「女は35歳をすぎたらもういけねえ」が持論で、若い女をいつも連れていたそうだが、その点は香川照之は違うようだ。

歌舞伎役者の凄さが、日本中に知られることはとても素晴らしいことで、そrだけでもこのドラマの意味はあったというべきだろう。

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