マック・赤坂を最初に見たのは、多分2011年の東京都知事選挙の時の政見放送だったと思う。
これは一体なんだと思ったが、直後に渋谷駅で、白のメルセデス・ベンツを見てさらに驚いた。
あの「スマイル、10度、20度、30度」や「ネガティブからポジティブへ」、「マイナスからプラスへ」のアクションにはただ笑うしかなかった。
映画『立候補』は、彼が2011年11月の大阪府知事選挙、橋下徹知事の突然に辞任、市長選挙への出馬で、ダブル選挙になった時のマック・赤坂の言動を追ったものである。
立候補の届けから、落選までを克明に描いている。
長年、地方自治体に勤務してきて、一番興味深いのは、選挙と生活保護だと思っている。
どちらも、日本人の生の生態がわかるからである。
だが、日本の選挙の法制度は、明治以降、常に非ドラマチックになるように改正されてきた。
その方が、現職に有利だからで、戦前は社会主義政党、戦後のある時期からは、公明党の進出を排除するのが主な目的だった。
だが本当は選挙は、民主主義のお祭りなのだから、この非ドラマ性は変で、それはアメリカの大統領選挙が、一大イベントであるのと対照的である。
要は、お祭り騒ぎにすることによって政治への関心を高めているのだが、日本では全く反対になっている。
だから、政治によって利権を得る人だけが関心を持つので、その結果が低投票率になっているのだと私は思う。
その点、橋下徹は、選挙の本質がドラマ性にあることをよく知っている。
常に問題のある言動を繰り返して、自分への関心を維持しているが、従軍慰安婦発言は失敗だったようだ。
この2011年の時も、ダブル選挙というイベントを仕掛けることで、特に失政もなかったが、邪魔な平松邦夫市長を落とすために市長選挙に出て勝つ。
選挙の最終日、梅田駅でマック・赤坂氏は、橋下・松井陣営に対峙し、数分間演説する時間をもらうが、その橋下・松井の周囲のヤクザのような連中。
最後、2012年11月の衆議院選挙最終日は、秋葉原で自民党候補を応援に来た安倍晋三・麻生太郎を堅める日の丸を打ち振るネット右翼のような集団。
マック・赤坂氏は、こうした集団主義に戦っている。
そこでは、全員が仲間で、互の腹の中は何も言わずとも分かっているので、スマイルは不要である。
スマイルは、多民族国家で、誰が敵で、誰が味方であるか不明な国アメリカで生まれた、自己防衛策なので、日本で不要なのは当然と言えば当然なのだが。
東中野ポレポレ