『薩摩飛脚』の筋はまったくわからなかったが、

朝から新宿湘南ラインで、阿佐ヶ谷に行き、『薩摩飛脚』を見る。

「映画探偵」シリーズで、近年発見、復元された映画の特集だが、これは1933年に新興キネマ京都で作られたトーキー映画で、音が切られているというすごいもの。アメリカで発見されたフィルムで、当時は日本人の弁士付きで上映されたものだそうだ。

大仏次郎原作で、監督は伊藤大輔、主演は市川右太衛門である。トーキーであり字幕もないので、何をやっているのかほとんどわからない。

                                    

ただ、見ていて、アクションなど、黒澤明の感じによく似ていると思えてきた。

この作品は、実は伊藤がサイレントで作ったもののリメイク版で、撮影は三木滋なのだが、サイレント版を始め、多くの伊藤大輔作品の撮影は唐沢弘光である。

唐沢は、京都の撮影所から上京して、PCLに入る。そして、山本嘉次郎の『馬』の「春」も担当する。

この『馬』は、チーフ助監督の黒澤明が、その多くを担当したことで知られているので、この時に、唐沢から黒澤が得たものも多かったと思う。

今まで、私は黒澤明に影響を与えたのは、日活でも内田吐夢だと考えてきたが、伊藤大輔が与えたもの、特にアクション場面での撮影方法、も大きかったと思う。

その意味では、収穫のあった映画だった。

阿佐ヶ谷ラピュタ

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