『砂漠を渡る太陽』

月曜日なので空いているだろうと思い、11時半ごろに行くと25番目で、場内は満員になる。

話は昭和20年7月の熱河省の小さい村だが、旅宿となっている村で、そこに正義感の強い日本人医師鶴田浩二がいる。

                

村人への医療の他、アヘン患者の治療にも当たっているが、副院長の山茶花究は、治療用のアヘンを横流しして儲けている。

このように結構話は複雑で、一番驚いたのは、中国人軍人として高倉健が出てきて、伊藤雄之助と戦ってすぐに死んでしまうのだが、これがなんと「延安派」、つまり共産軍で、高倉健が共産党員とは!

村で伝染病が流行り、鶴田は村の閉鎖を命じ村人と鋭く対立する。大陸浪人の山村聰、日本の特務機関の山形勲など、様々な勢力が交差するが、ついにソ連が侵攻してくる。

山形やその部下の大村文武らが逃亡する中、鶴田浩二は、村に残る。

山村は言う、「君が日本の責任を負うことはないじゃないか」だが、鶴田は、

「でも私は、日本がしたことの責任を取りたいのです」

脚本は池田一郎と小川英の娯楽派だが、監督は佐伯清とまじめな戦中派である。

東映東京作品だが、東映京都は、マキノ映画そして満州映画協会を追われたスタッフ、キャストを受け入れてできた撮影所であり、赤木春江さんもそうである。

その性か、東映にはこの他、『夕日と拳銃』もあり、ヤクザ映画時代にも『大陸流れ者』があった。

満州物は、アングラ劇でもその数は多く、佐藤信の『キネマと探偵』もそうで、唐十郎にもあったはずだが、今思い出せない。

阿佐ヶ谷ラピュタ

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする