映画の著作権で一番おかしなのは、第26条の頒布権である。
これは、映画の権利者(制作者)が持つ権利で、一般に映画を流通させる(配給する)行為のもとになっている。
これが、奇妙なのは「貸与にも譲渡にも有効」とされてきたことで、これを根拠に例の「中古ゲームソフト販売」事件訴訟も行われたが、最高裁で制作者側の完全敗訴に終わった。
これは、よく考えれば当然で、一度売ってしまった商品の再売買を規制するなど不可能なのだ。
頒布権が譲渡にも有効とされてきたのは、日本では映画のフィルム(ネガ)そのものを売買する行為が一般に存在しなかったからで、現在ではビデオ、DVDとして複製の再売買はいくらでも行われている。
つまり、映画についても他の著作物と同じで良いのである。
だから、頒布権は改正し、上映を伴わない複製物については、他の著作物と同様に貸与権と譲渡権に統合すべきだと思う。
また、同様の理由から、公共図書館がビデオを購入する際の補償金制度(38条5項)も改正し、要しないとすべきと考える。
いずれにしても、現行著作権法上、映画については会社側の権利が異常に強いのは、かつて日本映画界には永田雅一(大映)、堀久作(日活)といった「政商」がいためであり、公平性や論理的整合性からではない。