鈴木清順の『殺しの烙印』、森一生の『ある殺し屋』と共に、私が一番数多く見返していた映画の一つ。昔録画したテープが数年前に切れてしまい、長い間見られなかったが、オークションで入手し、久しぶりに見たがやはり最高だった。
監督増村保造、脚本は増村と石松愛弘。主演の渥美マリがとても素晴らしい。
娘の渥美を守るため、ヒモの玉川良一を刺殺し刑務所入りした母根岸明美に代わり、渥美がバーに働きに出る
次第に能力を発揮して、社長西村晃の愛人となり、最後は莫大な遺産を手に入れる。増村の強引な演出がすごい。
渥美を助け、惚れてしまう元弁護士のバーのマネージャーが川津祐介。
増村作品では、勝新太郎と大谷直子の『やくざ絶唱』でも同様の教師役。
バーのマダムが、今や「世界の蜷川」となった蜷川幸雄の奥さんの真山知子。
この頃は、まだ蜷川は無名の役者・演出家で真山が稼いでいたはずだ。
林光の音楽がとても悲しくていい。『やくざ絶唱』のハーモニカもいいが、これも実に胸に迫るメロディーである。
1970年、大映末期の傑作。