米国系企業倒産の実態

港湾局で財産管理係長をやっているとき、実際に米国系海運会社の倒産事件に遭遇したことがある。

それは、USラインという名門海運会社で、歴代社長は海軍提督が天下っているという大企業だった。当時、横浜では本牧に定期でコンテナ船が入っている他、大黒ふ頭でも用地を貸していた。

ある時、「日本法人が倒産した・・・」との情報が入り、経理課長と一緒に赤坂見附の日本法人の本社に行った。すると、ビルの部屋では間仕切りを職人たちが壊している状態で、日本法人支社長に会うと、

「この状態です、私も今日解雇されました。後は法的手段でやってください」と言う。

その通りで、USの日本法人は倒産し、相当な負債が残ったようだが、元職員は訴えを起こし、彼らの給与など労働債権は優先的に確保されたようだ。横浜市には、保証金があったので、それと相殺したが、まだ多少の債権は残ったようだった。

そして、1年後横浜港のあるふ頭の海運会社の事務所に行くと、元USラインの横浜支社の幹部がいた。彼らのほとんどは、米国系の他の海運会社に再就職したとのことだった。

どのように表現すべきなのかと思ったが、日本のサラリーマンのような終身雇用制とは全く別の世界があると知ったときだった。

因みに、倒産したのは日本法人であり、米国の本社は倒産していず、今も健在なはずである。

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