依然として、亀田興毅の世界戦の判定問題が話題となっているが、元々日本は中米の、アウト・ボクシングとイン・ファイトを併せた「ボクサー・ファイター」のスタイルには、きわめて弱いのである。
歴史的に見れば、戦前日本のボクシングは、「槍の笹崎」や「ピストン堀口」らに表現されるように、ほとんどイン・ファイトだったらしい。
日本のボクシング界に、「アウト・ボクシング」を教えたのは、日本最初の世界チャンピオン白井義男を育てたカーン博士である。
だから、戦前からのボクシング・ファンだった、漫才のコロンビア・トップなどは、当時全盛期だった矢尾板貞夫らのアウト・ボクサーが大嫌だった。
日本のボクサーは、タイやアメリカに多い典型的なイン・ファイトのタイプ、あるいは欧州のアウト・ボクサーには強いのだが、この二つのスタイルを混ぜた、中米の「ボクサー・ファイター」には大変弱いのである。
彼らは、そのときにより、アウト・ボクシングとイン・ファイトを使い分ける。
そして、隙を見て内側からパンチを入れて来る。
亀田が1ラウンドに入れられた右フックも、内側から入れられた有効打である。
採点法も話題になっているが、日本には昔から、手数を有効とする考えが強いが、世界的見れば、この手数の多さ、攻勢点、なるものは無意味な採点法である。
本来、ボクシングで有効なのは、クリーン・ヒットであり、きれいに打つことは最も高い評価を受けるものなのだ。
これは、欧州に強い、アマチュア・ボクシングの伝統である。
コメント
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