溝口健二の『山椒太夫』は、名作でとても好きな作品だが、全体を流れる「共産主義思想」が今見ると大変滑稽である。
まず、タイトル前に、「この映画は、まだ人が人として目覚めのない時代の話」との字幕が出る。
丹後国の国司となった平正通(厨子王)が、山椒太夫の奴隷を解放するシーンの演説もすごい共産主義思想宣伝。
そして、解放された奴隷たちは屋敷で、飲めや歌えの大騒ぎ。
自由になった庶民というものは、こうしたものなのか。
セシル・B・デミルの『十戒』でも、解放されたユダヤ人は酒池肉林の大騒ぎを演じる。
無知蒙昧な庶民はそうしたものだという偏見は、洋の東西を問わず同じらしい。
思想は間違っているが、映画としては素晴らしい、というのはありえるのだ。
コメント
>>丹後国の国司となった平正通(厨子王)が、山椒太夫の奴隷を解放するシーンの演説もすごい共産主義思想宣伝。
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奴隷を開放する演説ではなく、国司という職を辞するときに言った言葉を覚えておいででしょうか?.
『職を辞する事は、奴隷という私と同じ苦しみを味わった者達、全ての望みだった』、確かこのようなことを言ったはず.
奴隷たちは苦しみの中で、人間を支配する権力が無くなることを望み続けていた.だから、厨子王は、自らその権力を捨てました.
>>全体を流れる「共産主義思想」が今見ると大変滑稽である。
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はっきり書けば、滑稽なのはあなた自身では無いですか?.
>>まず、タイトル前に、「この映画は、まだ人が人として目覚めのない時代の話」との字幕が出る。
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これに気がつかれたのなら、では、『人が人として目覚めた時代』、つまり現代はどうでなければならないのか?、それを考えなくてはなりません.
1.悪人の山椒大夫を国外に追放した.
2.厨子王は権力の座を辞した.
これでは、また山椒大夫か、似たような悪人が権力を持ったら、元に戻ってしまうだけ.
その通り、なのです.
つまり、
『悪人が権力を持つから悪い世の中になる.だから、良い人が権力を持たなければ良い世の中にならない』
と考えるのが、『まだ人が人として目覚めのない』考え方であり、こう考えているうちは、絶対に良い世の中にはならない.
だから、厨子王は人を支配する権力を手に入れたが、すぐにその権力を捨てました.
行き着くところは、権力に頼らず、皆が力を合わせて、良い世の中を作って行くことを考えなければならない、と言うことになるのですが.....
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もう一度書いておきます.
>>タイトル前に、「この映画は、まだ人が人として目覚めのない時代の話」との字幕が出る。
つまり、『この映画に描かれた様な考え方ではダメである』と、ちゃんと書かれているのに、そして、あなたはそれを知りながら、滑稽な映画だと批判した.
だから、あなたは滑稽な方だと思います.