女道楽について

先日、フイルム・センターで見た溝口健二の『愛怨峡』のタイトルも出演者に「女道楽 ○○○○」とあったが、実際のフィルムにはなかった。
再編集版なので、「名画には余計」とカットされたのだろう、誠に残念。

女道楽とは、別に女遊びのことではなく、昔あった寄席芸の一つ。
女性が、長唄、端唄、三味線、しゃべり等を一人でやる寄席芸で、山田五十鈴が榎本慈民の『たぬき』で演じた立花屋橘之助が第一人者だったが、橘之助は自分で「浮世節」を名乗った。

東京には都家かつ江というのがいてあまり上手くなかったが、あれも女道楽である。
彼女は、元は漫才だったそうで、そのためか三味線の芸はそれほどではなく、毒舌のしゃべりで受けていた。
映画監督の豊田四郎には好かれたらしく、豊田の映画にはよく出ていた。

オール・ラウンドの芸が出来ねばならず、大変な修行と才能を要する。
今では、大阪で内田英華さんという方がいるようだ。
是非、首都圏に来ていただき、見てみたいものだ。

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