『エンロン』

言うまでもなく、アメリカのエネルギー企業(もとは天然ガス会社)で、規制緩和をテコに空前の利益を上げたが、2001年倒産し幹部の不正が暴露された企業のドキュメンタリー。

見て、すぐに思い出したのは、マックス・ウェーバー、大塚久雄が名付けた、近代以前の資本主義の「賎民資本主義」という言葉である。

大塚らは、近代西欧で成立した資本主義には、キリスト教の禁欲的倫理があったとするものだが、この映画で描かれたエンロン幹部には、倫理性はまったくなく、その意味では完全に「賎民資本主義者」である。

会長ケネス・レイ、社長のキスリングらは、会社の利益のみ追求し、様々な投機に走る。
彼らは本来公共事業であるはずの電力事業をも投機の対象としてしまい、その結果2000年のカルフォルニア州の電力危機、大停電を招いてしまう。
しかし、ここに至っても彼らは無反省で、ブッシュ政権や担当委員会も有効な手を打たない。
勿論、ブッシュ政権とは深い関係があるからである。
だが、最後は株価暴落で倒産してしまうが、ケネス・レイら幹部は倒産の前に大量の株を売りぬけて莫大な利益を得ていた。
一番損をしたのは、末端の労働者で、彼らは職と退職金、さらには企業を「401K」でエンロン株に投資していたため年金さえも失ってしまう。

小泉構造改革も、安倍政権によってやや停滞気味のようだが、それで十分結構だと改めて思う次第だった。
川崎東宝シネマズ

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