『夜の河』と田中澄江

『女の坂』につづき名作『夜の河』を見る。
『女の坂』は、京都の老舗菓子店を継いだ娘岡田まり子の話で、女性を主人公にした商売ものの作品であり、そこに母親乙羽信子と同じ恋人佐田啓二を愛してしまう、「親子丼」関係が絡む。佳作であろう。今や相撲取化した岡田がひどく細くて可愛い。
名作『夜の河』
何度か見てよく出来た映画とは思うが、どこか嫌いだった。
今回、その理由が分かった。田中澄江の脚本が嫌いなのだ。
田中は、田中千禾夫の奥さんで、戦後多くの映画の脚本を書いているが、余り好きになれない。
どこか八方美人的で好かないのである。田中の脚本は、http://www.jmdb.ne.jp/person/p0294610.htm
を参照下さい。中では『雑居家族』が一番好きである。
『夜の蝶』も田中だが変な話である。
『めし』『晩菊』等は好きだが、これは井出俊郎との共同である。
誰にでも気を配って、また女性主人公がひどく潔癖なのが多分いやなのだろう。
この『夜の河』でも、巻頭では全く興味を示さなかった主人公山本富士子が、最後ではメーデーに関心を示すなど、余計な気配りで、見ていて不快なのだ。

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