丹波哲郎の武士は、捕り方に追われていたとき、吉原を支配する忘八者に助けられ、忘八者の仲間になる。
忘八とは、孝、悌、忠、信、礼、義、廉などの八つの徳を忘れた者で、したい放題のことをする。
勿論、見世物は、女の裸で、ひし美ゆり子が主役。
また、丹波哲郎の殺陣も見もので、忘八の伊吹吾郎、遠藤辰雄らの怪演も笑えるが、あまり爽快ではない。
それは主人公が、石井輝男映画のいつもの吉田輝男ではなく、丹波哲郎故の役者の違いだろうか。
そのため、吉田輝男だといつも最後にある「こんなことがあってよいのか」の悔悛のお笑いの台詞もない。
もう1本は、『異常性愛記録・ハレンチ』で、これはもっと困る作品だった。
京都のクラブのママの橘ますみが、商店主の若杉英二に執拗に迫まられる話しだが、見ていて「なぜ逃げないの」としか思えなくなってくる。
要は、若杉は異常性欲行為を橘に強要するが、「橘も結局好きなんではないか」と思えてしまうのだ。心理学では、共依存関係というそうだが。
最後、若杉が、ナイフを抜いて橘と吉田を脅すが、急な雷雨で、ナイフに落雷して若杉は即死してしまう。
京都で実際にあった実話のようだ。
新文芸座