昨日は、西区藤棚にあるシネマノヴチエントで行われた『濡れた荒野を走れ』の上映会と沢田幸弘監督のトークショーに行った。
これは1973年に池袋文芸地下で見ているので、45年ぶりに見たことになる。藤田敏八の『新宿アウトロー・ぶっ飛ばせ』との併映で見たが、この『新宿アウトロー』は、実は伊勢佐木町の根岸屋で撮影された作品で、非常に貴重なのだが、DVD化されていないのは残念である。
45年前に見た時は、かなり感動したと思うが、今回見るとかなり滅茶苦茶なシナリオだなと思う。
脚本は長谷川和彦の最初のもので、伊地知啓らは賛成だったが、警視庁に摘発されていた直後だったので、会社の上層部や組合からは製作が保留される。
やっと1年後に、ロマンポルノとして作ることになるが、確かに警察に対してきわめて挑戦的である。
ベトナム戦争反対の募金をしていた教会に強盗が入り、200万円を強奪し、牧師の娘を強姦して去っていく。パトカーに戻ってきた男たちがストッキングのマスクを取ると、刑事の地井武男、高橋明であることが分かり、無線が入り教会に強盗が入ったので行けとの指令で行く。
彼らは、何食わぬ顔で現場に来て証拠品を消してしまい、また牧師も娘のことを申し立てない。
署に戻ると、精神病院で火事が起きて死者も出たが、入所していた元刑事の井上博一の死体はなかったとのこと。
地井と高橋は、井上の妻川村真樹の住宅に行くと、井上が電車で逃亡しようとしていることが分かり、駅に行き、二人の刑事は井上が列車で逃亡しようとしている場に遭遇し、車で追う。
その列車には、女子高生の山科ゆりも高校総体に出場するために乗っているが、井上と山科は大月から湖に行く。トークショーでの監督のお話では本栖湖らしい。
そこで二人は野営するが、ラジオから従妹が近くの河原で芝居をすると聞く。ラジオはTBSで林義雄だったそうだが、声では分からなかった。林は若死にしたが、日活映画のファンで有名だった。
その河原に行くとトラックのアングラ劇一座が来て、奇妙な茶番劇のリハーサルをし、山科は従妹と再会して喜び会う。この一座は、天象儀館だったとのこと。するとそこに地井、高橋と川村も現れる。夜になると暴走族のオートバイが来て、セット等を破壊して去っていく。
明け方、濃霧が晴れると木に裸の川村が後ろ手に手錠を繋がれている。
そこに井上が現れて、川村の胸に銃を向け発射すると乳房の上から血が飛び散る。
地井と高橋と井上のアクションになり、井上が銃殺されたとき、山科が来て、高橋に
「あんたもかわいそう」と言って去る。
トークショーではいろいろと面白い話があったが、一つだけ書く。
日活がロマンポルノになり、優れた作品ができてきたのは、一つには警視庁の摘発手入れがあり、そこで「なにがワイセツだ」と撮影所の人間が盛り上がったことが最大の理由だとのこと。だから、数年前にロマンポルノを再生する動きがあつたが、それはかつてのような背景がないので無理だろうとのことは、その通りだと思った。