キャリアとノン・キャリア

森友、加計等で話題となっている、キャリアとノン・キャリアの関係だが、私が経験した事例を書いておく。

横浜港大桟橋の入口に観光客用の駐車場を作ったときのことである。

私が、横浜市港湾局振興課から異動して港営課管財係に行ったとき、前任の小山政雄係長から引き継ぎを受けた懸案事項の一つが、この大桟橋入口に駐車場を整備することだった。

一応、異動の挨拶もかねて振興ふ頭にあった運輸省港湾局関東運輸局管理係に行き、この計画を話した。

つまり、当時遊休化して長い間利用していなかった大桟橋入口の運輸省財産の土地を横浜市が有償で借りて駐車場にしたい、もちろん借り受け料はお払いする。

するとそこの係長(ノン・キャリアで、とても良い人だった)は、

「これは今までにない新規事項ですから本省に協議します」と言い、新規や例外的事項はすべてノン・キャリアではなく、キャリアが判断することになっているのである。

その意味で、例の破棄された以前の決裁文書が何度も「特例的」と言っているのは正しいのである。

そして、すぐに連絡が来て、本省の管理係に説明しに行ってほしいと。

霞が関の運輸省港湾局管理係の職員に説明に行った。向こうはキャリアの若い職員だが、こちらは地方なので、係長が説明するのである。つまり、国に比して地方は一段低いわけである。

そして、説明した後、答えが来て、「これは例外的事項なので、運輸省では扱わず、大蔵省に財産移管することにした」というのだ。運輸省港湾局の財産は原則としてすべて行政財産なので、ここだけ普通財産にして貸すわけにはいかないというのだ。

そこで、日本大通りの関東財務局横浜財務事務所に行き、計画を説明した。ここの係長もノン・キャリアで、実はこの人とは、その後の何回か大蔵財産と横浜市港湾局財産との財産処理をやったが、この方も非常に良い人だった。何度か財務事務所に説明に行き、無事運輸省から大蔵省への財産移管は行われ、横浜市は大蔵から有償で借り受けて、港営係と工事係が整地等をして民間業者に委託して駐車場を作ったが、今も利用されているようだ。

さて、今回の森友問題の文書改ざん問題の前の文書の詳細さだが、これは担当者の大変な抵抗だと思える。

また、逆に言えば、こうにでも書いていかなければ、ある日に白日の下に晒されたとき、自分が法的問題に問われないために書いたともいえるだろう。

そう考えれば、安倍明恵氏以下の政治家等の働きかけだが、あそこに書かれたものに倍するものがあったと考えるべきである。

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