映画字幕の翻訳者だった寺尾次郎が死に、彼はもとはシュガー・ベイブのメンバーだったなど、ミュージシャンだった。そして、彼が音楽を辞めた理由は、先週の東京新聞夕刊の「大波小波」は、坂本龍一との確執だったと書いていた。
それは、ある日坂本がミリタリー・ルックを着て来たからで、たとえファッションとは言え、物事について厳密だった寺尾は許せず、以後音楽から映画の世界に行ったというのだ。
人と人の対立、確執、好き嫌いは本人同士でないと分からないものだが、案外そうした小さなものが原因だったことはありうるだろうと思う。
いずれにしても、寺尾はミュージシャン時代から映画が好きで、フィルムセンターに通っていたそうだ。
そうした多彩な趣味の一つとして、言わばアマチュア的にやっていた音楽を本業とするか否かの分かれ道に、坂本龍一が一方の極として見えたということだろう。
1970年代の若者のある面を象徴していた寺尾次郎のご冥福をお祈りする。