日活後期、ニューアクションからロマンポルノ時代、さらにテレビで活躍した監督長谷部安春が亡くなった。77歳。
「意外に若いな」と感じたのは、日活に監督の中では、かなり若くしてデビューし、活躍した期間が長かったからだろうか。
だが、私は、それほどすごい監督とは思ったことがない。
ニュー・アクションの少し前、帝都の映画青年に注目された『皆殺しの拳銃』も公開当時それほど感動せず、数年前フィルム・センターで見直したが、やはり同じだった。
むしろ『あいつシリーズ』や『縄張はもらった』の方がむしろ良かった。
彼が、本領を発揮したのは、ニュー・アクションの『野良猫ロック』シリーズやポルノ時代の『暴行』シリーズだったと思う。
彼は本質的には、エンターテイメント系の作家で、スター・システム映画にも対応できたのだ。
その意味では、確かにハード・アクションの、ドライで冷酷な画面とリズム、テンポの人だったのだと思う。他の監督との比較でで言えば、まったくジャンルは違うが篠田正浩に近い資質だったと思う。音楽にうるさいのもよく似ていたようだ。