先日、テープレコーダーは、戦時中のナチスの発明だと書いた。
では、それ以前はどうやって録音していたのか、多く行われていたのは、SPレコードにダイレクトに録音するダイレクト・カッティングである。昔は、肩からかける小型録音機があり、これでフィールドレコーディングしたのだ。
民俗音楽の、デニス・ルーズベルトの「西アフリカ版」など、すべてそうである。
日本で言えば、民謡の大家町田嘉晶さんなども、それで日本全国を周られたようだ。
同時に、もっと軽量なものとしてワイヤーレコーダーがあった。
これは、その名のとおり、細いワイヤーに録音するもので、20世紀の初頭からあったようだ。
ただ、必ずしも音質が良くなく、特に高音が出なかったようだ。
それを解決し、性能が飛躍的に向上したのが、テープレコーダーなのだ。
だが、テープレコーダーは、テープを作るのが難しく、なかなか日本でも実用化されなかった。
そこで、昭和30年頃までは、ワイヤーレコーダーも使用されていた。
加山雄三が、父親の上原謙が、アメリカ製のワイヤーレコーダーを使って家で映画の台詞の練習をしていたことを新聞に書いていた。
ジャズで言えば、かの有名な1941年の名盤『ミントン・ハウスのチャ-リー・クリスチャン』は、素人が自分のワイヤーレコーダーで録音しておいたものがレコード化された例であり、ジャズファンなら良く知っているだろう。
コメント
キャデラック・レコード
明日まで早稲田松竹で上映される「キャデラック・レコード」、チェス・レーベルの盛衰記なんですが、マディ・ウォーターのデビュー録音の風景が出てきます。これがダイレクト・カッティングでしょうか。
映画は見ていませんが
コメント有難うございます。
また、いつも読んでいただき誠にうれしく思います。
さて、映画は、見ていないのでよく分かりませんが、チェスへの録音は1946年で、普通の録音でしょう。
マディーの最初の録音は、確かアラン・ロマックスによるもので、フィールド・レコーディングで、ダイレクト・レコーディングです。
それは、フォーク・ウェーズ・レーベルでしたが、今はスミソニアンに入っています。
泥水音楽
特にジャズやブルースに詳しいわけではないのですが、マディの音楽抜きにストーンズが成立しなかったことは分かります。
「キャデラック・レコード」は、ぜひご覧になってください。
映画では、マディは、チェスでデビューしたことになっていますが。
音楽が人種融和に寄与した歴史を感動的に描いた作品です。
結構微妙な問題です
さらに調べてみましたが、アラン・ロマックスによる録音は、1940年代ですから、これが一番古く、それを基にフォークウェーズで1950年代に出ています。ただ、どれだけ一般に出たかは、よく分かりません。
ですから商業的販売は、チェスが最初になります。
その意味では、一般的にはチェスでデビューしたと言って良いのかもしれません。