富山刑務所で、嘱託の技官をやっていた高倉健が、リンパ癌で死んだ妻田中裕子が「故郷の平戸の海に自分の骨を散骨して欲しい」と遺言したので、富山から平戸に行く話だが、要はそれだけ。
刑務所に慰問歌手として来ていた田中裕子と高倉健が結ばれる件と、田中裕子が慰問歌唱の中で、獄中の受刑者と密かに通信をしていたというのも説明が不足でよくわからない。
昔、歌謡曲に、ムード歌謡というのがあったが、これはムード映画で、中身は観客が想像しろ、というとんでもない偉そうな作品である。
私は健さんは大好きだが、この映画は好きになれない。
ビートたけしから大滝秀治、浅野忠信、佐藤浩市、余紀美子、原田美枝子、長塚京三、綾瀬はるかなどの豪華キャストだが、なんともドラマが薄い。
唯一意味があるとすれば、草薙剛と田中裕子の演技だろう。
草薙の演技はいつもながら自然で、まさに天才である。
草薙と佐藤が演じ、高倉健も、草薙の柔らかな図々しさについ巻き込まれて手伝ってしまう、デパート、スーパーでの実演販売の会社は、「北海道の本社での「イカめし弁当」販売よりも、こうした店頭での実演販売の方が多い」と草薙が言う。
これは実際にそうで、デパートやスーパーでのイベントでの販売の他、各地の展示場で行われる展示イベント、こうしたところへの出店のみで営業している会社は実際に結構ある。
これは、一種の無店舗販売で、店舗の家賃、売り子の人件費、その他余計な費用がかからないので、結構儲かるもののようだ。
昔、港湾局にいたとき、山下町の産業貿易センターの1階の展示ホールに港湾関係のブースを出すことになり、そのときに関係者から聞いたことなので、もう30年くらい前のことである。
当時からそうした連中は多数いて、まるでテキ屋のように日本中を歩いているとのことだった。
田中裕子は、いつもの自分勝手な間ではなく、相手役に合わせた間で台詞を言っている。
これは、田中が年をとった性なのか、あるいは高倉健さんに遠慮したためなのか。
いきなり、田中裕子が竹田城で歌を歌うので、「大分の竹田に行ったのか」と思ったが、これは兵庫の竹田というところなのだそうだ。
そんなところ、知っていました?
東宝シネマズ上大岡