『サロージャ』

スリランカ映画。スリランカ映画を見るのは2度目で、随分前に池袋西武で特集を見た。
1999年の制作で、多分北部でタミール人とシンハラ人の混在している地域のようだ。
少数派タミール人のゲリラを多数派のシンハラ人政府軍が攻撃する。

ゲリラ「解放の虎」の男の家が焼かれ、男は娘サロージャを救い出して逃げるが、途中で足を撃たれる。娘の話で妻を殺したのは政府軍ではなく、ゲリラ側だと知る。彼は嫌々ゲリラに入れられていたのだ。
逃亡の中で、ある村の学校の先生と知合う。
彼にはサロージャと同年代の娘がいて、彼らを匿い、負傷の治療に病院に入れてやる。初めは反対だった妻もサロージャの可愛さに、二人に同情してゆく。
最後、男のことがばれ先生も裁判に掛けられ微罪ですむが、村人の偏見から先生は他の村に赴任することになる。
その離任式で、彼は村人に争いの無意味さ、人間は皆同じことを説く。
そのとき、中に潜んでいたゲリラによって元ゲリラの男は「裏切り者」として射殺され、先生のヒューマニズムは、無意味に帰す。
だが、村人に先生の行為は大きな中身を残したのだ。

スリランカの内戦の厳しさ、主人公のヒューマニズムの気高さ、少女の可愛さ、親子の愛情の強さに思わず泣いてしまう。
思い出すのは、グレゴリー・ペック主演の名作『アラバマ物語』だが、ここでも人種差別、紛争は根深く容易には解決できないが、粘り強く戦うしかない。
重い感情が残る映画だった。
川崎市民ミュージアム。

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