チーフタンズの公演があったので、渋谷のオーチャードホールに行くと、驚くことに若い女性等で満員である。
そして、内容はとても楽しいもので、大満足で帰った。
彼らは、自分の音楽をよく知っているのに感心した。
結成50周年コンサートなのだから当然だが、彼らの音楽が、伝統音楽であり、型の表現であることを十分に知っているのである。
演劇には、型と心の表現スタイルがあり、歌舞伎や新派は型であり、新劇は心である。
それは、ロックでも同じで、ザ・ローリング・ストーンズは型の表現のバンドであり、ヴァン・モリソンは、心で歌を歌う歌手である。
型の表現の場合、見え方がそうなれば良いので、歌舞伎や新派では、高齢の役者が娘役を演じることができ、私も先代の水谷八重子の『金色夜叉』で、お宮を見たことがあるが、少しもおかしなものではなかった。
数年前に、ザ・ローリング・ストーンズのライブ映画を見たが、彼らは型の表現なので、飽きないように様々な工夫を凝らしているのに感心した。
チーフタンズも同じで、ギターにはアメリカからカントリーのギタリストを招いている他、日本の林英哲の太鼓、カナダのダンサー、さらには東京バグパイプ・バンドやレディー・チーフタンズという、おそらくはファンクラブだろう女性たちのバンドまで入れ、演奏に変化を付け、飽きさせないようにしていた。
なぜなら、伝統的な型の表現だと、結局はみな同じで飽きてしまうからである。
渋谷オーチャード・ホール