小山明子が『三代の盃』に出た理由がわかった

大島渚の死で、話題となっている妻の小山明子だが、彼女の出演歴に大映の『三代の盃』がある。

2年前に、シネパトスの小山明子映画祭で見たが、勝新太郎主演、森一生監督の任侠映画で、かなり面白い作品だったが、なぜこの作品に出たのか大変不思議に思った。

先日、県立図書館に行くと、大映の録音技師だった林圡太郎の本『映画録音技師ひとすじに生きて』があった。

これを読むと、1962年に大島渚が、大映京都でスタンダールの『カストロの尼』を原作とした、山本富士子、市川雷蔵主演の『尼と野武士』のことが書かれていた。

ロケハンもやり、スタッフの打ち合わせもやったそうだが、大映と山本富士子のトラブルで中止になる。

その後、この作品の大島渚以外のスタッフは、すぐに『三代の盃』に撮入したと書いてある。

要は、『尼と野武士』が流れた代わりに、小山明子に大映作品に出てもらい、彼らのプロダクションの創造社の得られなかった収益を与えたのであろう。

大映の社長永田雅一らしい、日本的決着、取引である。

大島渚も、いろいろな妥協もしていたのだなと思った。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする