児童文学者の鳥越信が亡くなられた、83歳。
彼には、大学1年の時、同じ児童文学者の神宮輝夫先生との交代で、毎週児童文学を教えてもらったことがある。
神宮さんは、英文学の翻訳でも知られている方で、きわめて正統的な授業だった。
それに対して、鳥越信は、明らかに日本共産党員で、だが語り口はべらんめえ調の結構面白いもので、共産党にしては珍しいと思ったものである。
そして、彼が一番すごいと思ったのは、
「私は、実は漫画週刊誌を全部蒐集していて、これはいずれすごいコレクションになる」と言ったことだ。
「所謂良書の類は、どこでも誰でも収集し、持っている。だが、週刊の漫画雑誌のようなものは、皆くだらないと思っているので、数十年経ったらどこにもなくなる」だろう。
「だから、私は毎週収集しているのだ」と言っていた。
これは大変立派ですごいことである。
彼は、大阪の大学を辞めたあと、全部のコレクションを大阪府の国際児童文学館に寄付した。
そして、その児童文学館が、かの文化音痴の橋下徹府知事で廃止されたとき、自分が寄付したコレクションの返還請求を申しでた。
当然のことであり、一時は訴訟することも決意されていたようだ。
だが結局、大阪府図書館に移管されたのは、喜ばしいことだが、橋下の芸術文化音痴は、本当にひどい。
そんな男が、現在は市長であることを大阪市民は恥じていないのだろうか。