1960年、宝塚映画で作られた神戸一郎主演のアクション映画、彼は歌手で、役者ではないので、佐原健二と環三千代が出て、二人の方が芝居は多い。
神戸は、『銀座9丁目は水の上』や『別れたっていいじゃないか』『十代の恋よさようなら』などの大ヒット曲の歌手。
鶴田浩二と高倉健を足して二で割ったようだが、なんとも玄人臭い顔で、現在の「素顔が第一」から見れば、大変に違和感があるルックス。
船員の神戸と佐原が神戸に来て、金持ち娘環三千代に神戸は惚れられ、佐原は、飲屋の夏亜矢子と恋仲で、立ち退きを迫られているのを解決する。
簡単に言えば、横浜港を多く舞台にしていた日活アクション映画の神戸港版であり、モノマネである。
脚本が昨年亡くなられた藤本義一だが、相当に安易な筋書きである。
最初に神戸と環が出会うのが、神戸の港の道路で神戸と佐原が歩いているところに環が乗っている高級外車が突っ込んできて神戸を負傷させる。
よくある設定で笑えるが、環三千代が可愛いので許せる。
夏亜矢子の父親で、元船員で港の入口で飲屋兼居酒屋をやっている俳優は、嵐三右衛門という人、関西の役者であまり見ない。
さて、この映画の本当の主役は、環三千代で、彼女は関西のアイドル的女優だったが、1970年代に普通のサラリーマンと結婚して引退した。
彼女は小津安二郎の遺作『秋刀魚の味』で、北竜二の若妻で出ているので、日本映画史には残るのは、幸福なことというべきだろうか。
神戸一郎は、こうべではなく、かんべいちろう、である。歌手、俳優は止めて神戸でビジネス界にいるようだ。
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