大雨ついて

大雨の中、地下鉄を乗り継いで、南北線の本駒込まで行く。

琵琶奏者後藤幸浩さんから公演のご案内を頂いたので。

途中で道に迷っている方をご案内して、と言っても私もろくにわからなかったのだが、適当に歩くと会場の入口に着く。

そこにやっと案内板が出ている。非常に参った。

琵琶などというと古臭いものと思われるだろうが、明治から戦中くらいまでは、非常に人気の高い楽器の一つで、大阪では琵琶少女歌劇まであった。

その琵琶少女歌劇のスターだったのが、女優の田中絹代である。

琵琶は、その名のとおり、形がビワに似ているからで、中国ではピパ、西アジアにも同型の楽器はあり、恐らくアラブのウードあたりがが元なのだろうと思う。

昭和の戦争の時代では、琵琶の持つ、硬質な音色と男性的な奏法がよく合ったためか、戦記物に多く使用され、忠君愛国的内容で戦意高揚に使われた。

その反動で、戦後はほとんど顧みられなくなった楽器だが、昭和30年代に武満徹が使用して世界中の人間を驚かせ、映画『怪談』で素晴らしい成果を上げている。

この日は、ハンセン病詩人の谺さんの詩をもとにしたのが第一部、第二部は、説教節でも有名な「信太妻」

歌舞伎や文楽の「保名」である。

この保名については、諸説あり、その中でも被差別部落民のことだとする説が有力のようだが、そうしたことを除いても感動的な話である。

千駄木・記憶の藏

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