このブログには、私と家族のことは書かないことにしている。さらに原則として食べ物のこともであるが。
その理由は、マルクスと小津安二郎が言うように、人間の生き死には「個のことではなく、類としての人間」の事柄に属するからである。
戦後の小津安二郎の映画は、『東京暮色』『風の中の牝鶏』『長屋紳士録』等を除けば、一貫して娘を誰かに嫁がせる話を描いている。
だが、そこでは相手がどういう男であり、その男女の間にどのようなドラマがあったかの、普通の恋愛劇が題材とするものを一切描いていない。
これは、人間にとっては、生まれ育ち、子を作り育て結婚させるという循環の中にしか意味はないと小津は思ったからに他ならないと私は思う。
このことは、『小津安二郎の悔恨』(えにし書房)に書いたので、詳しくはお読みいただきたい。
いずれにしても、個人的には私に重大な事柄があったのだが、ここには書かない。