午後、野毛山の中央図書館に『レコードコレクターズ』を寄付しに行った帰りに、市民ギャラリーに行き、『映画の中の横浜』を見るが、展示されている横浜市内という撮影場所が間違いだらけだった。
小林旭主演の『夜霧の第二国道』に、日本ビールとあるが、横浜に日本ビールの工場はない。
園まり主演の『夢は夜ひらく』で、市立図書館とあるが、これは県立図書館。
加賀まりこ主演の『月曜日のユカ』で、シルク・ホテルとあるが、これはどう見てもホテルニューグランド。
最初のビール工場だが、横浜に日本ビールの工場があったことはなく、勿論キリンビールである。この小林旭が最後に決闘するビール工場は、舛田利雄監督が東京の工場だと証言しており、今はエビス・ガーデンプレースとなっているサッポロビールの恵比寿工場である。
園まりが、司書として働くのは、紅葉丘の県立図書館である。
横浜市立図書館は、戦前に建てられた古いもので、当時前川国男によって音楽堂と共に設計された神奈川県立図書館は、最新の建築物であり、ここで撮影されたのである。そこは、裕次郎・浅丘ルリ子の『赤いハンカチ』でも出てくる。
加賀まりこが、同じく娼婦だった母親の北林谷栄と行くホテルは、シルク・ホテルではなく、ホテルニューグランドの2階のロビーである。
シルクホテルが出てくるのは、加賀まりこと池部良共演、篠田正浩監督の『乾いた花』である。
いずれにしても、それぞれの作品を見ていれば間違うことのないものであり、これを書いた方は個々の作品を見ていないのではないかと私は思う。