7月2日の都議会議員選挙をめぐって今、選挙運動が行われていて、先日渋谷に行くと、いろいろな候補が選挙演説をしていた。
私は都民ではないので関係ないが。
都議会議員選挙の運動が出てくる映画がある。吉永小百合と高橋英樹の映画『雨の中に消えて』である。
筋は、新潟の高校から上京して来た吉永、十朱幸代、笹森礼子が東京でいろいろな経験をする映画で、主演の吉永小百合は、大学生で高橋英樹と同級生である。
その学生アルバイトで、二人は都議会議員樺島松雄(伊藤雄之助)の選挙運動に従事する。
勿論、吉永は選挙カーに乗って「かばしままつお、かばしままつお」を連呼する。
実は、この映画の直前の映画『泥だらけの純情』では、吉永小百合の役名は、樺島まみなのであり、当時の日活には、上流階級の人間の名前としてかばしまがリストアップされていたようだ。
実は、この映画は大田区池上で撮影されており、樺島候補の選挙事務所に使われたのは、私の実家の本家の元呉服屋の店だった。
当時は、当主の方が亡くなられた時で、店を閉めていたので使われたのだと思う。今は、マクドナルドの池上店になっている。
『泥だらけの純情』では、小百合と浜田光夫が逃げて隠れるアパートとして大田区馬込が出てく来るので、スタッフにこの辺に土地勘のある人がいたのだろうと思う。
大体1週間くらい日活のスタッフは池上に来ていて、それはかなりの大騒ぎだった。
私も吉永小百合を実際に見たが、非常に小さいなと思った。
映画は、監督西河克己で、普通のできの作品だったが、伊藤雄之助と妻轟由起子のやり取りはとぼけた味があって面白かった。さすがに西河は、松竹大船の出だと思った。松竹は風俗を描かないとダメと言うのが城戸四郎の考えだったのである。
だが、この年は『青い山脈』に始り、浦山の『非行少女』、鈴木清順の『野獣の青春』『関東無宿』、蔵原の『何か面白いことないか』、今村昌平の『にっぽん昆虫記』など、日活は多彩な作品を公開しており、最高の年だったと思う。
ただ、石原裕次郎は『太平洋ひとりぼっち』を石原プロで作るなど、後の低迷の兆しも現れていた年ではあったのだが。