『殿、利息でござる』

江戸中期の実話に基づくというこの映画を見て思うのは、当時と現在の日本全体の金融の構造は基本的に変わっていないのだなということだ。

仙台藩の村で、貧困に耐えかねて、村の上層の商人たちが蓄財している銭を集めて藩に貸し、藩が課す伝馬の労役を減らしてもらおうとし、ついに成就するまでの物語。

つまり、江戸中期の明和の頃には、すでに貨幣経済の進行の中で、都市はもとより地方でも商人層は蓄財ができていた。

だが、預ける場所はなく、家の甕に蓄えていたのだ。都市には、無尽等があり、庶民金融があったが、地方ではなかったのだろう。無尽は、日本では明治以降は相互銀行(今は普通銀行)になったが、韓国ではまだ強い力を持っているようだ。

だから、この村人が銭を集めて藩に貸すというのは、今の全国の金融機関の構造ともよく似ている。

現在の銀行界は、地方銀行が預金を都市銀行に貸す構造になっている。それは、地方では預金はあるが、貸す場所が少ないので、それを市場に出して利ザヤを稼ぐのである。それをコール市場といい、それがコール・レートである。

この映画を見て改めて思うのは、武家の社会と言うのは、今の我々から見れば恐ろしく窮屈な社会だなという感じである。

封建社会は当然に身分制だったので、一言目には身分と面子が問題になる。

本当にご苦労様なことだったなと思う。

最後に出てくる若き藩主は誰かと思うと、羽生結弦だったのには笑った。

衛星劇場

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