『縄文にハマる人々』

縄文には昔から興味があった。

あの縄文式土器の装飾は凄いと思う。ほとんど無意味で無駄で、効率性に反しているのだから。遮光式土偶に至っては、普通の人間の想像力ではできるものではない。

吉本隆明の『言語にとって美とはなにか』にあったと思うが、あらゆる芸術において、リアリズムは最後にできてきた近代以降の様式であり、この土偶に象徴される反リアリズムこそが人類が初期において作り出した美学なのだと思う。

ここでも出てくるが、日本で縄文時代に最初に注目し発言したのは岡本太郎である。それは戦前にパリで交友があったピカソが、アフリカの美術から大きな影響を受けたように、岡本太郎は日本の原初の文化である縄文に引かれたのだと思う。

縄文期には、言語がなかったので、どのような言語で話し、コミュニケーションを取っていたかはわからないが、今の我々とは違うものであった可能性もあったと思える。本当に縄文時代は良い時代だったのだから、1万年も続いたのだと思う。

全国の様々な遺跡や小林達雄先生はじめが出てきて、自分が縄文に引かれたことを証言するが皆面白い。

だが、2500年前ごろ、稲作の導入と共に、弥生時代となり、急速に縄文文化は衰えてしまう。

それは、全地球的に気候の寒冷化があり、狩猟採集の縄文文化ができなくなり、農耕が急速に普及したようだ。縄文は今よりも、3度くらい気温が高く、狩猟採集には適した気候だったのである。

井上ひさし的に言えば、「米作と天皇制が諸悪の根源」というべきだろうか。

横浜シネマリン

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