1976年、日活児童室が作った映画、脚本は勝目貴久、監督は藤井克彦で、勿論ロマンポルノも監督していた間である。
藤井克彦は、地味な監督だが、手堅い作品を作る中堅の監督だった。
小学校の女教員立石涼子が妊娠して産休に入る。
文句を言いに来る親たちに昔の日活の女優が見えるのがおかしい。
生徒の中には、一家で零細な印刷業をやっている子もいて、樋浦勉と白川和子の夫婦。
こういう教育的映画は、きれいごとになりやすく、私は好きではないが、偽善性は少ない方である。
特に面白いのは、産休代替で来る南美江の存在にある。
年寄の女先生だが、非常に厳しく、びしびしとスパルタで鍛える。
朝礼の礼の仕方が悪いとして、何度もヤリ直させ、最後はきちんとさせてしまう。
主人公と思われる、ゆう子の父親は前田昌明、母親は看護婦の八木昌子で、ゆう子が3歳のときに死んだ母親の後妻で、なかなか打ち解けられなかった。だが、最後10歳の誕生日に打ち解けることができる。
ラストは、3ヶ月の代替期間を終わった南に、4組全員の顔を書いた旗を送って終わる。
南美江は、『Wの悲劇』で、劇団の古参女優で、薬師丸ひろ子が愛人告白をしたとき、
「今の子はどうなっているの、妊娠だ、愛人だと!」と怒る演技で日本映画史上に残るだろうが、この映画も素晴らしい演技だった。
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