『ハーベイ・ミルク』

ツタヤに行くと、こんなドキュメンタリーがあったので、すぐに借りて来て見る。
ハーベイ・ミルクはサンフランシスコのカメラ屋だったが、同時にゲイ運動家で、市のスーパーバイザー(ここでは執行委員と訳されているが、明治時代には日本の市にもあった市参事会委員だろう)になる。今の日本で言えば、市議会議員と副市長の中間の存在で、多分10人くらいで、公選されて市長を補佐し、いくつかの部局を担当する。国の議員内閣制に似た制度である。

ハーベイは、執行委員会委員選挙に2回出て落選したが、進歩的なモスコーニー市長が、選挙区を全市ではなく各地域毎に変更したことで見事に当選し、市政に参画する。

そして、カルフォルニア州の保守派上院議員によって、公立学校からゲイ・レスビアン教師を追放できる「プロポジション6号」を住民投票で否決することに大きな力を発揮する。
すると、同じ執行委員の元消防士で白人のダン・ホワイトが急に辞職する。
だが、彼はすぐに撤回し再度就任しようとする。
その談判に行った市庁舎で、モスコーニー市長から再任を拒否されると市長を銃殺し、さらにミルクも射殺してしまう。
彼は逮捕され、裁判にかけられるが、白人多数の陪審員によって「計画的な故意殺人ではない」として微罪になり、1980年代には刑を終え出獄してしまう。

映画では出てこないが、その後サンフランシスコ市は、新設のコンベンション・センターをモスコーニー市長の名を取って、モスコーニー・センターとする。
さらに、ニューヨークでは、1990年代には「性同一性障害者」を受け入れる高校として、ハーベイ高校ができたそうだ。
誠にアメリカは不思議な国である。

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