『ガス灯の下で君を待つ』

午後、ひどい暑さの中、日之出町から坂を上り、紅葉坂の青少年センターで横浜にゅうくりあと高校生の「演劇塾」公演『ガス灯の下で君を待つ』を見る。
脚本と演出には問題があるが、高校生の演技はなかなかすごい。
ただ、主人公の少年をやった役者が、滑舌が全くできていなく台詞が聞きぐるしいのには参った。どうしてこんな初歩的なことをきちんとしないのだろうか。

いつも書いていることだが、若者にこうした「等身大芝居」をやらせるのは賛成できない。
自分自身を演じるのは簡単のように見えて、実は最も難しいのである。
小津安二郎の映画で日常的な芝居をまるで演技していなように見せたのは、笠智衆、東野英二郎、杉村春子らの名優だったことを想起すべきだろう。
すべて芸術・文化でリアリズムは、近代になって最後に生まれた様式であることを忘れてはならない。

高校生のための「芝居塾」だったら、まずはシェークスピアの『夏の夜の夢』あたりをやるべだ、と私は思う。
自分経験でも、高校1年の時、『夏の夜の夢』をやり、そのときは「こういう詩的な台詞は難しい」と思ったが、今考えるととても良い経験だった。
先輩に感謝している。

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