『薄桜記』

BS時代劇で、『薄桜記』が放映されている。
もちろん、市川雷蔵主演、監督森一生の名作のリメイクである。
これは、原作が五味康祐で、脚本は伊藤大輔先生だった。
新人監督協会会長の大高正大は、一番好きな監督は伊藤大輔で、勿論私も伊藤大輔を大巨匠とすることに依存はない。
ただ、それはサイレントからトーキー初期頃までのことで、古巣日活が、永田雅一の策略で、二流会社だった新興キネマ合併されてからは、旧日活勢は、「窓際族」にされたので、内田吐夢と共に、監督としては不振になったようだ。
内田に至っては、最後は満州に行ってしまう。
戦後の伊藤作品では、大映での『弁天小僧』あたりがきわめて前衛的で驚かされたくらいであると私は思う。

言わば、戦後の伊藤は、脚本に良いものがあり、この『薄桜記』が典型だと思う。
話は、忠臣蔵外伝で、丹下天膳と堀部安兵衛との友情、さらに丹下が、片手片目にされた経緯を解き明かすものである。
主人公の丹下は山本耕一で、堀部は高橋和也、そして吉良上野介は長塚京三で、彼はこの悪役を嬉々として演じている。
私は、以前から長塚が嫌いだったが、この吉良は良いと思う。
丹下の妻となるが故あって離縁される千春は、柴本幸で、演技はともかくとして、若いのは良いと思う。
森一生版は、真城千都世で、少し年取っていたと記憶している。
今後、どうなるかが興味深い。
脚本は、ジェームス・三木。

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