酒池肉林にふけるのは罪なのか

『十戒』を見る。旧約聖書の、モーゼに率いられたユダヤの奴隷の民のエジプト脱出行である。紅海を渡りシナイ半島に入ったユダヤ人が、モーゼが山に行った間に、エジプトへの妥協派・エドワード・G・ロビンソンらの示唆によって信仰と規律を失い、堕落して酒色にふけり、偶像崇拝に陥るところが面白かった。

人間は、奴隷から解放され、自由を得ると享楽的になり、規律を失い堕落するものなのか。
日本でも溝口健二の映画『山椒太夫』の中で、厨子王の手で山椒太夫から共産主義的に解放された奴隷たちが、昔の民青のごとく踊り狂い、酒池肉林の馬鹿騒ぎをするのが滑稽だったが、人間はそうしたものなのだろうか。

規律や信仰を失い、酒色にふけることが罪だとすれば、今の日本人は全員が地獄に落ちるはずだ。この『十戎』が制作された1950年代のアメリカはまさしく享楽文化にあったわけだし。

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