『次男坊鴉』


シネマート新宿で行われている、「大雷蔵祭」、ほとんど見ているので、いまさらと思っていた。
以前某区役所のときの友人村岡さんが、「私のおじさんの弘津三男(ひろつかずお)の監督作品で『次男坊鴉』が上映され、普通では見られないので、是非行きましょう」との誘いで行くことにする。

元新宿文化の文化ビル1階入口には、「満員」の表示だった。こんな無名の作品がと思い上がると、2,3空席があったが、確かにほぼ満員。本当はもっと広い劇場だったが、板尾創路とやらの新作を公開するために、狭いホールに変えたためだとか。「板尾と雷蔵とどっちが重要と思っているのか」と言いたくなるが、大雷蔵祭の客は、20年もすれば、ほとんどなくなるだろうから、仕方がないか。

昭和30年1月の『次男坊鴉』は、雷蔵主演では二作目だそうで、共演は嵯峨三智子、雷蔵のおじに香川良介、悪役ヤクザの親分は富田仲次郎など。
話は、古河の宿に来て、香川や嵯峨らを助けた風来坊の雷蔵が、再び3年ぶりに戻って来て、富田らに荒らされたのを助けてくれるが、そこに知らせが来る。
雷蔵は、本来は三千石取りの旗本の次男で、長男が急死したので、跡を継げとのこと。さらに、日光山営造の役目もあるので、急にと。
一旦は、日光に行き営造奉行の役目を果たした雷蔵は、嵯峨が忘れられず古河に戻って来る。
そして、嵯峨らと再会し、悪を退治する。
実に、貴種流離譚の典型だが、雷蔵は凛々しく演じている。
カメラが宮川一夫なので、時として抒情的シーンも美しい。
弘津三男さんの演出は、極めて正統的なもので、はったりのないのが物足りない気はするが、とても気分が良かった。
雷蔵と嵯峨に、それぞれ主題歌があり、決まるシーンでそれが掛かるのは、昔の股旅映画の常道で、笑ってしまうが。

その後、キリンシティで四方山話をし、ビールを飲んで帰る。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする