『新馬鹿時代』

昭和22年10月に前後編として公開された東宝映画。
監督は山本嘉次郎、脚本小国秀雄、主演はエノケン、ロッパで2時間を越える大作。
二人が共演したのは映画では初めてで、大ヒツトしたようだ。
その他、若いギャングに三船敏郎が出ていて、なかなかの貫禄。

話は、真面目警官のロッパと闇屋のエノケンによる闇市での追っかけ、という喜劇のルーティンだが、時代を上手く反映している。
後編では、二人が石炭鉱山主になり、成金になるのも時代に合わせている。
最後が意外な結末で、ここも上手い。
シナリオにうるさい古川ロッパも、脚本が良いと彼の日記でほめ、乗って演じている。

この作品での闇市の大セットを見た会社役員が、「壊すのはもったいないから、これでもう1本作れ」と言われて、出来たのが黒澤明の名作『酔いどれ天使』であるのは、有名な事実。
確かに、闇市のセットの奥に鉄道の高い壁があり、そこを合成で電車が走る。
『酔いどれ天使』には、電車が走るシーンなく、わざわざ作った壁なのに、「なぜ電車が走らないのか」と前から疑問に思っていたが、元の山本作品でやっていたので、黒澤はやらなかったのだろう。
横浜市中央図書館地下1階 AVコーナー

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