『三曲名流大会』

三曲とは、筝(琴)、三絃(三味線)、尺八の合奏で、邦楽の基本である。
この三曲の各流派の大会が行われるので、上野の東京文化会館に行く。
ここに来るのは、1970年代に二期会のオペラや、バレーを見にきて以来である。
当時は、オペラやバレーを公演できる会場は、東京でもここにしかなかった。

フィルムセンターで今井正の『怒りの海』を見た後だったので、11時半から開演されていて、すでに10曲目だった。
『松風』で、これはあまり面白くなかっtが、次の絃愛会の『瀬戸の春』は、良かった。
筝と尺八によるものだが、30人以上にもなる奏者による組曲は、まるでスペクター・サウンドで、邦楽にもこういうものがあるのかと驚いた。
それから8時近くまで、30以上のグループが出た。
人間国宝、家元、名手総出演とのことだが、私には誰が誰だか分からない。
知った名前は、筝の米川文子、尺八の山本邦山くらい。

印象で言うしかないが、一番良かったのは、前半最後の中能島弘子の『都の春』、休憩後に最初にやった宮城会の『編曲八千代獅子』だった。
その他、『筝合奏曲二短調』(山川園松)や『合奏用練習曲第三番』(朝香会)などの、新作もあり、これも意匠は面白いが、果たして邦楽でこれをやる必要があるのかとの疑問もわいた。
あえて言うなら、ここでも女性上位で、男は尺八だが、これは少しも面白くなかった。
近年、退職男性等の間でも尺八が流行しているらしいが、これを面白く楽しく演奏できるようになるのは容易ではないことがよくわかった。
上野駅近くの店で食事して帰るが、外国人がたくさんいた。
東京文化会館

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