『哀愁のサーキット』

ロマンポルノの『白い指の戯れ』で話題になった村川透監督の次の『哀しみの女街』は、まあまあだったが、この3作目は不評だったらしく、一度も見たことがなかった。

人気レーサーの峰岸隆之介と歌手の木山佳とのつかの間の恋を描くものだが、じつにつまらない作品だった。

セックスやアクションシーンのバックに音楽が流されるもので、樋口康雄の曲はメロディアスで良いが、どこにもドラマがなく、行き当たりばったりの筋書き。

レーサーと女性の恋というと、クロード・ルルーシュの『男と女』、あるいは日本のレーサーの福澤幸雄と女優の小川知子の恋を思い出すが、ともかく話が通俗的で、セリフも非常に陳腐。

最後、木山は峯岸から言われた台詞の『海は女の涙』を歌ってヒットし、峰岸は、相変わらず多くの女性に囲まれての日常生活を送るというので終わり。

唯一の意味は、樋口康雄の音楽で、これを経て、翌年の藤田敏八の映画『赤い鳥、逃げた?』では、映像と音楽がぴったりになり、大成功になる。

こういうのを見ると、やはり藤田敏八は上手いことがわかる。

フィルムセンター

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